今日は、平成29年度 第29問について解説します。
建物の耐震診断と「建築物の耐震改修の促進に関する法律」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 耐震診断は、建物に必要とされる耐力と現に保持している耐力を比較し、評価するものである。
② 特定既存耐震不適格建築物の所有者は、耐震診断を行い、診断の結果、地震に対する安全性の向上を図る必要があると認められるときは、耐震改修を行うよう努めなければならない。
③ 昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手した賃貸住宅(共同住宅に限る)は、特定既存耐震不適格建築物となる。
④ 所管行政庁は、特定既存耐震不適格建築物の耐震診断及び耐震改修の的確な実施を確保するために必要があるときは、所有者に対し、必要な指導及び助言をすることができる。
解説
耐震診断と改正耐震改修促進法に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
耐震診断は、建物に必要とされる耐力と現に保持している耐力を比較し、評価するものである。
〇適切です。
耐震診断とは、建物に必要とされる耐力と現に保有している耐力を比較して、大地震の際にどの程度の被害を受けるか評価・判定することをいいます。
2013年の「建築物の耐震改修の促進に関する法律」の改正(改正耐震改修促進法)により、一部の建物については耐震診断が義務付けられました。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
特定既存耐震不適格建築物の所有者は、耐震診断を行い、診断の結果、地震に対する安全性の向上を図る必要があると認められるときは、耐震改修を行うよう努めなければならない。
〇適切です。
選択肢の説明のとおり、特定既存耐震不適格建築物に該当する建物は、耐震診断を行い、診断の結果、地震に対する安全性の向上を図る必要があると認められるときは、耐震改修を行うよう努めなければならないと定められています。よってこの選択肢は適切です。
選択肢 ③
昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手した賃貸住宅(共同住宅に限る)は、特定既存耐震不適格建築物となる。
×不適切です
賃貸住宅については、共同住宅に限り、原則として昭和56年5月31日以前に新築工事に着手し、かつ3階以上で延べ面積が1,000㎡以上のものは特定既存耐震不適格建築物とされます。
つまり、昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手した賃貸住宅(共同住宅に限る)は、3階以上で延べ面積が1,000㎡以上のものは特定既存耐震不適格建築物とされます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
所管行政庁は、特定既存耐震不適格建築物の耐震診断及び耐震改修の的確な実施を確保するために必要があるときは、所有者に対し、必要な指導及び助言をすることができる。
〇適切です。
所管行政庁は、必要があると認める場合には、特定既存耐震不適格建築物の所有者に対し、耐震診断や耐震改修の実施を確保するための指導や助言を行うことができます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。
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